家庭医療実習が終わった。

2020.04.10

 

非常に濃い実習だった。間違いなく人生が変わった。そんな確信があった実習でした。こんなに内側から湧き上がる情熱を感じたのは初めてだった。

全てが終わったときT先生が、「名残惜しいねえ。」といった。それだけ居場所がこの2週間で出来上がっていた。振り返ると幸せな気持ちでいた穏やかな1週間であった。

 

特に印象的だったのが、最終日の訪問診療で出会った多系統萎縮症の患者さん。意思の疎通は取れない運動性失語の方だった。理解力良好だが、パネルで言いたいことを指差そうとしても企図振戦がひどくうまく指せない。意思の疎通は困難だった。できるのは軽く頷く程度。

奥さんも献身的な介護が続いているが、病気、夫の状況を受け入れきれていない雰囲気を感じた。

手技の途中、僕はふと、飾ってある二人の幸せそうな写真が気になった。まだ元気な患者さん。幸せそうな表情をしていた。僕は、その写真を患者さんに見せた。患者さんの表情は明るくなった。表情はほとんどわかんないけど、幸せそうな表情だった。「いい奥さんが居て幸せですねえ。」幸せな時間を分かち合えたのは嬉しかった。

奥さんに、写真を見せたら嬉しそうな表情をしたことを伝えた。奥さんも嬉しそうにその当時の様子を話してくれた。幸せだった〜。

1つの見方では、僕の行動はエゴなのかもしれない。こうしたら喜ぶだろうという押し付けが含まれていると取られるかもしれない。でも、僕はそんな気持ちはなかった。エゴとかどうとか考える前に、直感に従っただけだった。写真を見せたのも、奥さんにそのことを伝えたことも、後から気づいた。それくらい身を任せていた結果だった。これこそが魂が求めているものなのではないのか。そんなことを考えた。

 

その日は、振り返りのプレゼンを職員全員の前で行った。時間は少しオーバーしてしまったものの、言いたいことは情熱を込めて伝えることができた。それは実際伝わっていた。

看護師のOさんは100点だといってくれて、今までで一番良かったと褒めてくれた。T先生は僕の発表をみて自分たちの指導に応えてくれたことに感謝してくれた。H師長さんは、患者さんに寄り添うとか、患者中心の医療とか、患者さんや職員にまで愛を持って接するとかそこまで感じたことを喜んでくれた。M先生は感受性が豊かだと褒めてくれた。そして、その感動したという気持ちはパッションを感じているということだから、大切にするようにアドバイスしてくれた。

 

良い2週間だった。今後、この気持ちを忘れないように、振り返りを見たりして立ち返りながら実習を頑張っていきたい。

2週間お世話になりました。